あえてイノベーション
Published by 松原幸行,
イノベーションについて考えます。イノベーションは定義できないと言われます。Clayton Christensenらは「イノベーションのジレンマ」の中でイノベーションの種類について言及しました(1)。イノベーションには破壊的なものと持続的なもとがあるというものです。前者はいままでのトレンドを大きく打ち破るもので、後者はトレンドにそって改善を加えるものです。しかしこれらは2つのイノベーションを述べただけでした。
イノベーションを定義しようとしても行動には繋がらないと言えます。
ではどうするかと言うと、「イノベーティブな発想」を定義すれば良いそうです(2)。
1)見たこと 聞いたことがない
2)実行可能である:実現できなければファンタジーであり意味がない。
3)批判を生む:明確に反対派が居なければならない(新しいアイディアには常に反対される)
この3つの発想が大事です。このような発想ができるようになるには練習が必要です。例えば、「桃太郎を破壊する」というテーマで、桃太郎を題材にランダムなアイディア出しをしてみます。「桃から生まれずに林から生まれる」「川から流れて来ないでロケットで川上に打ち上げられる」「桃太郎チームではなく単独行動したらどうなるか」「勧善懲悪(善を勧め悪を懲しめる)ではなくグレーなものとして考えてみる」等々です。「写真を撮らないカメラ」というのが画像診断装置だったりする訳です。
Christensenは最近「ユーザーの達成したいことで考えろ」と言っています。コトはつまり経験ですね(瞬間だけを考えれば良い訳ではないので)。カメラライフという虚構を作り出すのではなく、ユーザーの達成したいことを正面から考え、カメラについてイノベーティブな発想の3原則によるアイディア出しなどしてみると、良いかもしれません。
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(1) 「イノベーションのジレンマ」(翔泳社、1997)
(2) HBR 2017-1月号 P120、濱口秀司