会議のマネジメント

 ジェイソン・フリード(Jason Fried)氏のTEDカンファレンスで,“オフィスの生産性を阻害する要因はM&Mだ(ManagerとMeeting)"と指摘されている一方のM,Meeting(会議)だが,この会議のマネジメントについて考えてみた.

 一人あたり年間で312時間(約40日間)も費やしている会議(1).こんなに多くの時間は,果たして必要なのだろうか.会議には,生みだしたり決めたりする会議(ワークショップ型)と,意見交換や情報共有が目的である会議(情報交換型)に大別できる.このうち,後者の情報共有型会議があまりにも多すぎる.それにより,部下の"仕事に集中する時間"を奪っているとさえ言える.カルビーのように,基本的には会議はしない,というのも一考である(2).

 まずは,会議を減らす努力をすべきなのだが,それでも残った“必要な会議"を効率的に行うにはどうしたら良いか.その答えは,いかにしてうまく会議を行うか,ではないか.会議の準備やファシリテーションがとても重要である.

 会議の準備であるが,まず参加者であるが,人数はしぼるべきである.経営コンサルタントの堀 紘一氏によると,7人以上になると雑談が生まれやすくなるので,参加人数は6人までとすべきとのことである(3).参加者が多いと,確かに傍観者や内職する人が出る.多くても,8人を超えるのは良くないであろう(4).また準備としては,会議の前にテーマとゴールを参加者に示し,自分の意見を持ち寄るようにするのが良いであろう.条件があればその条件も提示する.

 ファシリテーションは,“お互いの意見は否定せず,皆に発言させる",などのルールだけ取り入れてもうまくいかない.決まったことを確認し,決まらなかったことは課題として明確する,などは最低限必要なことだが,根本的な問題を考えてみる必要がある.それは,何のために会議をするのか,ということだ.会議の目的を明確にし,常に確認できるよう,会議室の壁に掲示しておくとよい.

 無駄な会議を避ける方法としては,次のようなルールが有効であろう(5).

  • 会議の種類と出席者を明確にする.
  • スケジュールは非公開にし,勝手な会議予約を防止する
  • 目的とゴールを明確にする
  • 開始と終了の時間厳守を徹底する

 最近,フォーラムなどの場では,「アンカンファレンス」というのが増えてきた(6).読んで字のごとく,従来のカンファレンス形式を否定したもので,アジェンダや,スポンサー企業や,講演者報酬を設けない.手順はおおむね次のとおりである.

  1. 主催者は,大テーマだけを決める.
  2. 開始冒頭に,参加者全員が集まり,その大テーマに沿った討議テーマを出し合い,出席したいテーマを選ぶ.ここで,チーム(テーマ)と,ファシリテーター(テーマを出した人)と,参加者(テーマを選んだ人)が決まる.ものによっては,参加者が2人だけ,というチームもある.
  3. チームは,人数に応じて,大講義室や,小会議室や,ホール(廊下)などで討議を開始する.
  4. 時間がきたらまた全員が集合し,ファシリテーターが討議内容を紹介する.

 こんな感じで行われる.「201x年のセンター方針」などを大テーマとして,センターレベルでアンカンファレンスをしてみてはいかがであろうか.

 最後に,ファシリテーション・スキルについて,参考になる情報を紹介する.ただしテクニカルな内容が多い.



"responsiveconference"のインスタグラムより引用(http://bit.ly/2HmAnna

<参考情報>
(1) 15%の時間:http://bit.ly/2g4FA88
(2) なぜ、カルビーは「会議不要、資料不要」なのか:http://president.jp/articles/-/20187
(3) 参加人数は6人まで? 会議の際に意識しておきたいコミュニケーション術:http://www.lifehacker.jp/2016/10/161024book_to_read.html
(4) 8-18-1800ルール:http://ift.tt/1MFBZav
(5) 時間を無駄にするだけの会議を避ける5つの方法:http://www.dhbr.net/articles/-/5188
(6) アンカンファレンス:http://bit.ly/2HmZ5UD *アンカンファレンスの例(WordCamp Tokyo 2017 http://bit.ly/2HmREwo,PHPer Kaigi 2018 http://bit.ly/2FmXZvg