ビジョンは大きく 目標は小さく
Published by 松原幸行,
過去のコラム「小さな問 http://bit.ly/2xMMGZT」で,大脳新皮質の誘惑に負けないで“小さなゴール"を設定するとクリアしやすい,というようなことを書いた.大脳新皮質は新しいことを好みチャレンジを促す役割を持っているが,「20kg痩せる」などと大き過ぎる目標を掲げると,脳の中心にある古い脳「大脳基底核」が抵抗して,結果的にうまくいかない.この「小さなゴール」について,脳の中の側坐核(前脳に存在する神経細胞の集団ーwikipedia)が関係していることが,最近分かってきた.
大脳の側坐核は,ドーパミンを放出する「快感系ネットワーク(報酬系と言われる)」の一部である.側坐核への刺激は,認知行動療法や睡眠障害治療などにも利用されているようだ.また,それを刺激する方法は,“小さな目標をクリアさせる"ことだと言う.つまり,“小さなゴール"のクリアを継続すると側坐核が刺激され,やる気も感じるようになる,ということらしい[1].
これは一種の行動指針であるとも言える.ゴールは達成しやすいように常に小さ目にする.つまり「小さな問」である.何かすごいアイディアを思いついても直ぐ実行せず,一晩置いてから,あえて小さめのゴールに再設計してから実行する.ゴール設定を行う上での1つの条件として良いのではないだろうか.「人生の100のリスト[2]」などは良い例である[2].私も,年間で達成するゴールを「100の目標」として設定し,日々クリアする生活を数年間実施したことがある.自分の興味そのものも棚卸しできる.クリアしていく過程が見える化されるのは,気持ちの良いものである.平均達成度は40%程度であったが(^^;)
ところで,コーチングの面からは,ゴールは大きい方が良いとされる.大きいばかりか,ゴールは具体的でなければいけない.大きい方が良いという意味では,ビジョンもそうである.“夢は大きく"である.直ぐに達成できるビジョンでは夢とは言えず,モチベーションが続かないので,数年レベルで目指すべき方向を定める.例えばP&Gは,「P&Gは人々の生活の質を向上する」と言っている.自組織のビジョンを知ることは必須事項である.明確でなければ幹部に問えば良い.幹部には答える義務がある.一方,その意味では,ビジョンと日々の目標とは分けて考えるべきである.「ビジョンは大きく,目標は小さく」である.
"soccerkingjp"のインスタグラムより引用(https://www.instagram.com/p/BklZGChBEN_/?taken-by=soccerkingjp)
参考情報
[1] やる気が出ると目が覚める側坐核の働きを発見 http://www.tsukuba-sci.com/?p=3147 側坐核を研究している I さんへ https://blogs.yahoo.co.jp/brainandaging/37875060.html
[2] 人生の100のリスト https://www.amazon.co.jp/人生の100のリスト-ロバート・ハリス/dp/4062122707