非創造的な仕事と生産的な仕事 〜QLOの充実とは〜
Published by 松原幸行,
現役時代はわりと創造的な仕事が多かった。デザイン組織に所属していたし先行デザインなどを担当していたからだ。
しかし退職してからはがらりと変り、非創造的な仕事が圧倒的に多い。家事も庭仕事もそうだ。
これらは、決まったことを工夫しながら効果的に行えばQOL(Qualy Of Life)は向上する。創造的ではないが、まさに「(好ましい)生を産む」という意味においては、生産的な仕事である。
生産的というのは「生」に直結している。ただ自分の生のQLOだけ考えるのは利己的である。小さくていいから社会貢献や人の役に立つなど利他的な面もないと本当の意味でのQLOにはならない。
創造的ではない仕事も工夫しながら効果的に行えば精神衛生上もよい。つまり気分がいいのだ。気分がよいことは継続の力になる。
つまり生産的な仕事をただ漫然と行えば、それは"単なるルーチンワーク"となるだけで処理数を増やすとか時間短縮など表層的な成果だけが評価される。これはある意味不幸なことでQLOとはほど遠い。
昔盛んに行われた「改善提案活動」というのはこの不幸な状態を改めるためのものであった。
TQC(Total Quality Control:統合的品質管理)を導入している企業では、生産部門に務める人も時間内に改善提案活動を行うことができる。そして改善提案書を書いて提出すれば、ポイントが付与され、ポイントが貯まれば業績として認められる。
この改善提案活動は、一口で言えば 「工夫の積み重ね」である。しかも改善した内容は公開が前提だから、良いアイディアは誰でも使える。その意味では利他的でもあるのだ。
つまり"前向きな工夫"である。改善提案活動が面白くないと思い後ろ向きになるし苦痛にさえなる。
ようは、前向きなになることが大事であり、前向きになれればいつかは張り合いを感じることができ精神衛生上も良い。
では、前向きになるためにはどうすれば良いか。
一つには欲求の充足を目的化することである。マズロー・モデル[1]にあるどのレベルの欲求でも良いので、どうありたいか(なりたいか)を考えるのだ。その実現を目指しながらルーチンワークを行うとそれがすなわち"工夫"である。
創造的ではない仕事を「非創造的」とネガテイブにとらえないで、「生産的な仕事」であるととらえ我慢して工夫を重ねれば、やがて達成感や"気分の良さ"を感じることができる。これがすなわち"真の意味でのQOLの充実"と言えるものではないか。
と自己肯定しつつ、日々生産的な仕事に取り組む私である。
Thomas Sørenes from Tacoma, Washington, USA - Routines, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26114107による
参考情報:
[1]『マズローの欲求5段階説』- https://ferret-plus.com/5369