HCD-Netについて

 HCD-Netも変わりつつあります。事業の拡大に伴い管理費など間接コストが増えそれを補うために儲かる事業を考える、という風に徐々にNPOの理念から離れる形になって来ました。本来の姿は、昔企業が持ち回りで主催していた「ユーザビリティ談話会」の様に、手弁当による自主的な活動です。その中から、自分たちが本当にやるべきことは何かを純粋に追い求めていました。だから相乗効果的にCRXプロジェクトの様な活動も生まれたのです。その様な競合企業どうしの連携など、それ以前には考えられないものでした。

 HCD-Netに話を戻すと、内部で2つの意見があります。社団法人化して組織をもっと強固にすべきという考え方と、原点であるコミュニティ的な組織に戻ろうというものです。前者は賛助企業が中心となる活動です。後者はいわゆる手弁当的な活動です。すでに専門家認定事業も行っていることから、この部分は認定した専門家の地位向上なども考えるべきであり、社団法人化は一つの解と言えます。そして経営品質協議会のような認定団体との連携なども模索しながら、社会的な組織を目指すべきです。それ以外の教育や研究の事業については、やはり管理コストの負担が大きいのは課題でした。またイベント企画に注力していた理事が退任するなど予期せぬ事態もありました。なにせ儲けるための商材の無いNPOという組織なので、拡大路線はやはり無理があリます。結果的にコミュニティ的な組織に戻る意見が大勢となりました。そんな訳で経費削減に色々取り組む中で事務局も引き上げ、私も現在は在宅勤務をしております。歳も考えると若い世代にあまり負担もかけたく無いので、そろそろ潮時かと考えているところです。考えて見ると私が頑張って来れたのも、30代で経験したCRXプロジェクトが肥やしになっていると思います。あの10年間の素晴らしい経験があればこそ、その後の20年があるのだと思います。皆さんもどうぞ素晴らしい経験に身を賭して挑まれ、それを糧に有意義な人生を送って欲しいと思います。最後は教訓めいた話になってしまいましたが、これからも色々観点を変えながら、コラムを書いていきますので、よろしくお願いします。


(画像:筆者撮影)