フレンチと言葉

どうもアメリカ、イギリスなどの英語圏の国々はフランスをハスに見る傾向があるようだ。色々なものにフランスを揶揄するような表現を感じ取ることができる。気のせいかな...

フレンチトーストと言えば今は世界中で食されているデザートのようなメニューだ。でもフランスでは(当然だが)フレンチトーストとは言わない。フランスでは「パン・ペルジュ」と言う[1]。

確かにペルジュとはフランス語で「失われた」という意味らしいから、<硬くなったパン(失われたパン)をミルクや卵で生き返らせる>、というところから命名されたのは理解できる。

フランス人のそんな雑食性を暗に指摘しているような気さえする。

英語圏の人々(特にイギリス人とアメリカ人)とフランス人は、はっきり言って仲が悪い。そのため英語には、フランスを揶揄した言い方がたくさんある。

例えば「フレンチ リーブ(French leave)」。「中座」を意味する熟語である。フランス人は落ち着きがなく会議中にもかかわらずフラフラ歩き回ったりするので、その様子から、会議中に中座することを「to take French leave」と言う。"落ち着きの無い奴ら"なのである。

また、ハンバーガーなどに添えられることが多い、揚げたじゃがいもを指すポテトフライ。アメリカでは「フレンチフライズ」、イギリスでは「チップス」と言う。フランスでは「フリット」である。

アメリカ人がフレンチフライズと言うのは、最初にフランスでそれを見たからであり、発祥はベリギーの伝統的な国民食である「フリッツ」らしい[2]。つまりフランスを訪れたアメリカ人目線で<フランスの奴らが作る芋の雑なフライ料理>というニュアンスがあるとうがってしまう。

ちなみに、日本では「フライドポテト」と言うがこれは和製英語である。フライドポテトでも通じなくはないが、フライドポテトにはポテトチップスやハッシュドポテトも含まれてしまうので、曖昧な言い方になる。

他にもフランス人を揶揄する言葉がある。

激しい(下品な)キスのことを「フレンチ キス(French Kiss)」という。これも、"(我々のような紳士的なやり方ではなく)フランス人のような下品なやり方"という意味で用いられるスラングである[3]。

そもそも「フレンチ(French)」には「汚い言葉使い・表現」という意味があって、例えばアメリカ人が(とてもコラムでは表現できないような)汚い罵声語を述べた後に「Pardon my french(汚い言葉を使って申し訳ない)」と言い添えたりする[4]。汚い罵声語全てがフレンチなのだ。さらに先もあるがこの辺にしておく[5]。

こんな話ばかりしているとフランス人や親仏家の人に怒られるが、純粋に"言葉の面白さ"として受け止めてもらえれば幸いである。

FranHogan - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=92681075による

参考情報:
[1] 『フレンチトースト』 - https://ja.wikipedia.org/wiki/フレンチトースト
[2] 『フライドポテト』 - https://ja.wikipedia.org/wiki/フライドポテト
[3] 『フレンチ・キス』 - https://ja.wikipedia.org/wiki/フレンチ・キス
[4] 『フランス語ではない、英語「French」が持つ意外な意味とは?』 - https://www.serendipity.page/b/2020/05/french/
[5] 興味のある方はコラム『フレンチキスとはなんだ?』を参照のこと - http://p-lintaro2002.jugem.jp/?eid=519