インサイトエンジンと新規事業

 インサイトは顧客の"隠れたニーズ"と言われます。でもインサイトを理解しただけでは意味がなく、インサイトを基に事業戦略を構築し利益を生み出さなければなりません。これを「インサイトエンジン」と言うようです(HBR2月号)(1)。インサイト探索がひところの「顧客訪問」や「ユーザインタビュー」と違うところは、顧客の環境に深く入り込み、現場で得られた生のデータから顧客が真に求める(それまでは明らかにされていない)"隠れたニーズ"を読み取ることにあります。つまり顧客中心主義を徹底するわけです。(注;「顧客訪問」は開発中心主義である)さらにマクロ調査なども行いながら、総合的な判断で、顧客の"隠れたニーズ"を定義するのです。事業戦略は事業化のシナリオを描くことですので、ビジネスモデル・キャンバスなどを使って、技術やリソースやサービスをどう組み合わせるかを描くと良いと思います(2)。進め方には3つの段階があります。

 第一段階としては、対象とするユーザセグメントをはっきりさせて、そのセグメント毎にインサイトを探り、マクロ情報も合わせてデータベース化します。ここまではインサイトグループ単独の仕事です。第二段階としては、デザイン/開発サイドの人間と合同チームを組織し、ビジネスモデル・キャンバスを作成する過程を通じて新規事業の構想を描く、ビジネスモデルデザインです。この段階ではマネタイズの点も考慮しておかなければいけません。ここまでできれば次の第三段階として、開発に専念できますが、ラピッドプロトタイピング手法も取り入れながら、サイクリックな開発を行った方が失敗が少ないでしょう。昨今の新規ビジネスはこのような方法で行われることが多く、その意味で、企業の中全体に「デザイン思考」を導入しようという動きが活発です。

(画像出典:Creative Commons at Flickr https://www.flickr.com/photos/carla-kurt/17132374066/sizes/c/)

(1) インサイトエンジン:データから顧客を知る力 http://www.dhbr.net/articles/-/4692
(2) ビジネスモデル・キャンバスを使ってビジネスモデルを考える https://www.hivelocity.co.jp/blog/9820