経営の視点とUX

先日、小樽商大 平沢先生の総務大臣賞祝賀会でリコーの桜井会長と少しお話しする機会がありました。桜井さんは、「リコーはユーザビリティをとても大事にしてきた。」と述べていました。ユーザビリティの良い製品を作るためには、経営者の理解と後押しが欠かせないとのお言葉です。確かに機能や性能やコストとの間でユーザビリティはとかくないがしろにされがちです。その時経営者がリーダーシップを発揮しないと、使い易い製品は決して生まれないと断言していました。HCD界の人が集まる場であったので、多少リップサービスはあると思います。ですが面白いのはその後の言葉です。「経営者はポジションに就くと独自なカラーを出したがる。前任者を踏襲しようとは決して思わない」とのことでした。独自カラーを出さないと、地位に就いた意味がないと思うから出そうです。その文脈で、後任の近藤前社長の話に移り(実は本厚木の私のご近所さんですw)、桜井氏いわく「現状を憂いている」とのお話しでした。(近藤社長になってからリコーはユーザビリティ組織がバラバラになったりしました)

一方、富士通デザインの上田社長は、「全社をあげてサービスデザインの実践やデザイン思考の普及に精力的に取組んでいる」と述べています。やはりプロダクト系のデザイナーは冷めた目で見ているようですが、サービスデザイン部門を拡充し、富士通総研との協働も順調にいっているようです。またIBMは、全社をあげてデザイン思考を実践すると宣言しています。NECも似たような傾向です。もはや「なぜサービスデザインを取り入れるか」ではなく「どうサービスデザインを活かすか」であり、主題がWhyからHowに変わっています。

ところでキヤノンMJが盛んにサービスデザイン系のエイジェンシー(コンセント社など)にアプローチしているようです。マスマーケティングも限界を越えて変わりつつあります。サービスデザインはマーケティングと親和性が高いのかもしれません。


(画像出典:Creative Commons at Flickr http://urx3.nu/CEiu