ことわざの読み方
Published by 松原幸行,
諺(コトワザ)は「賢人の知恵」とか「昔からのありがたい言い伝え」などと言われるが、諺を反語として解釈し、そこから行動規範を見出す試みがある。かのMITメディアラボ石井先生も「出る杭は打たれる」について『出過ぎれば打たれない』と言う。つまり『打たれないほど大きな杭になれ』という事であり、出ていることを広く知ってもらうことをきっかけにして我が道を見出す、その意味を説いておられる。同様に「果報は寝て待て」について、『待っていてはだめで 自分から取りに行け』という捉え方。つまり「果報は寝て待たない」である。あるいは「触らぬ神に祟りなし」について、『悪いことを恐れて躊躇してはだめ』というように否定することで、スケールアウトする行動を動機づけにつなげようとする。また「転ばぬ先の杖」は、『失敗をおそれては行けない。失敗から何かを掴んで、それを糧に次を頑張れ』などなど、“新しい座右の銘"を見つけるつもりで、諺を見てみるのも面白いのではないか。このような発想を、弁証法では「アウフヘーベン aufheben」というらしい。日本語では「止揚(シヨウ)」である。つまり『古いものが否定されて新しいものが現れる際、古いものが全面的に捨て去られるのでなく、古いものが持っている内容のうち積極的な要素が新しく高い段階として保持される』ということである(1)(2)。
ちなみに私は、「果報は寝て待たない」というのが好きである。果報は待って得るものではなく、取りに行くものであると思うからである。皆さんはどんなアウフヘーベンを見つけるのかな?(^^)
(画像:筆者撮影)
参考:
(1) 止揚 https://ja.wikipedia.org/wiki/止揚
(2) 「ことわざ」を止揚すると http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa6966415.html