弱いつながりは強い 〜コネクションよりもブリッジ〜

 米国の社会学者マーク・グラノベッター(スタンフォード大)は論文「The Strength of Work Ties(SWT)」の中で、「人は弱いつながりの人脈を豊かに持っていれば、"遠くにある幅の広い情報を効率的に手に入れる" という面で有利になる。」と述べています(1973)。強いコネクションは、閉鎖的な関係を産みやすく、オープンで弱い関係(友達の友達など)は情報が伝わりやすい。例えば、AさんとBさんが知り合い同士で、AさんとCさんも知り合い同士だが、BさんとCさんは面識が無いと言う関係を指し、これを「ブリッジ関係」と呼んでいます。

 グラノベッターはこの論文で質問調査の結果を紹介しています。頻繁に会う相手から情報を得た人はわずか9人(17%)で、残りの45人(83%)は、たまにしか会わない、あるいはほとんど会わない弱いつながりの相手から得ていたそうです。情報の拡散を目指すには強い関係であるコネクション経由の口コミを期待するよりも、SNSを使ったブリッジによる情報拡散の方が機能します。熊本地震の「ライオン逃げた」なども、短時間で2万リツイートなど、その拡散力が話題となっています。最近はRSSフィードも人気がないようです。2013年にGoogle Readerが、また2014年にはlivedoor Readerがサービス終了しました。twitterfeedも今年サービス終了です。情報収集もTwitterやFacebookなどのブリッジ系のものに変わりつつあります。特にFacebookは実名率が84.8%と高く、ニュースソースとして信頼に足るものと受け止められています。当初注目されたキュレーションは下火になり、頑張っているのは音楽位です。現在すでにニュースソースの主流がSNSであるということは、SNSをやっていない人は情報流出の心配が無い反面、情報が偏る傾向にあります。どうしても、幹部会とか部長会など特定のコネクション経由のものになってしまうからです。

 ところで良い転職など、個人が発展していくにも弱い繋がりの方が効果的だそうです。何も繋がりの無い、例えば人材紹介会社経由では不安という人は、ブリッジ関係をきっかけにする方が良いでしょう。私も思い返せがそうだったような気がします。


(画像出典:Creative Commons at Flick:HBR 12月号 P136の論文「The Strength of Work Ties」マーク・グラノベッター )http://u0u1.net/FBAs
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参考:
- ソーシャルメディアの普及がもたらす変化 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc242220.html