繋がることつかむこと
Published by 松原幸行,
8月に某HCD専門家と某経営者にインタビューを行った.HCD専門家には,HCDとして大切にしていることを聞いてみた.彼女から出てきた答えは,意外なものだった.要は「HCD活動の効果が出るようなプロジェクトを選んで本腰を入れる」というもの.とても戦略的に考えている.効果がでることで,自分への評価と社内へのHCDの普及という2つを得ようとしているのである.
経営者の方は,皆もご存知の大手ATMメーカーの社長さんであるが,この方にはHCDへの期待を聞いてみた.彼の答えも意外なものだった.優れたUXについてだけをいくら訴えてもダメで,コストも下がるということを言って欲しい.そうしないと経営者は決して首を縦に振らないというのだ.つまり,二兎をあえて追って欲しいとのこと.もしチャレンジしてもらえれば大いにバックアップする,と言うのである.つまり自分もHCDが大事なのは分かっている.だが,だからコストアップしていい,とは決して言えないと言うのである.これは納得できる.
ここでこの2つの答えに共通したことは,HCDの活動は,方法論や知識だけではなく、「誰とどう組むか」ではないかということである.HCDに効果のあるプロジェクトを選ぶといっても,簡単なことではない.日々,上司や周囲との関係づくりがとても大事であり,その上で“このプロジェクトがいい"と気づく感性が重要である.また二兎を追うにしても,社内の協力者が必要だ.それも分野の仲間ではなく,知財関係者とかエンジニアとかマーケッターなど多分野の人である.このあたり「シリアル・イノベーター」と同じような文脈である.誰しも連携し,“何かを感じてつかみ取ること"はすごく大事なことだ,と改めて思った.
このインタビューの結果は「セグメントカタログ(1)」の改訂版に掲載し11月頃に発行する.
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参考:
(1) 7つのセグメントカタログβ版 http://www.hcdnet.org/organization/news/catalog_release.html