直感エンジン
Published by 松原幸行,
「直感」とはすごいものです。恋愛でも一目惚れとか、買い物でも衝動買いという様に、一瞬のうちに(直感的に)良し悪しを判断し「自分に合っている」とか「求めていたもの」という感覚を醸成します。別に求めていなくてもです。実は入社面接でも試験官の直感で採用が決まることは多く、性格テストや筆記試験などはその補完的な役割を果たすだけに存在すると言っても過言ではありません。AIの時代になるとロジカルな判断は全てAIがしてくれるので、人間としてはますます直感とか感性などが大事であるとする説もあります(1)。中でも「研究者の直感力」というのは大変なもので、優れた発見発明は直感(ひらめき)に基づいているとも言えるでしょう。ただ直感は生半可はことで得られるものではありません。James W. Youngも『常にそれを考えている状態で適度な刺激を受けた時にケミストリーが起こり頭の中でアイディアが生成される(2)』と言っています。要は『常に考えている』ことが重要なわけです。その上で、例えばIsaac Newtonであれば落下するりんごを見て直感を得るのです。
このように、直感を得るには常に頭の片すみで考えていることが必要です。チキンラーメンとカップヌードルを発明した安藤 百福氏も「ひらめきは執念から生まれる」と言っています。この「追及心」こそ、直感エンジン(つまり原動力)です。これは専門家にも当てはまります。HCDでも「気づき」という言葉がたびたび出てきます。また感性を紐解く中にもよく出てきます。感性の場合は、ひじょうに情動的なもので「感情体験」とも呼べるものとして直感の言葉が用いられます。また最近のマーケティングでは、直感と共に「本質的であること」が大事であると言われています(3)。この場合の本質的であるとは、社会的な存在としても肯定されるものでインサイトの重要性を指しています(4)。
一方で直感に頼ることの弊害も指摘されています(5)。ここでは、直感に頼る組織経営によりモチベーションが低下したり組織に対する不公平感が生まれるとされています。もっと市場分析やユーザー研究をしっかりやり合理的な経営判断を行うできでしょう。どうもマネジメントはよりロジカルな思考を重視すべきであり、専門家や研究者ほど直感力を磨くべきであると言えそうです。そう言ったら言い過ぎでしょうか?
(画像出典:Creative Commons at Flickr:http://urx.mobi/FAH2)
参考:
(1) 思考だけではAIに勝てない時代。未来のキーワードは、直感とひらめき http://www.hatarakigokochi.jp/interview/003.php
(2) 「アイディアの作り方」(James W. Young、訳:今井 茂雄、CCCメディアハウス、1988)http://urx.mobi/FABO
(3) IoT時代のマーケターは、直感的かつ本質的であれ http://digiday.jp/brands/coca-cola-toyoura-yosuke-interview/
(4) マーケティングでいう「インサイト」とはいったい何か? http://urx.mobi/FACt
(5) 「直感」だけで意思決定する時代は終わった、パフォーマンスを最適化する営業組織計画 http://www.sbbit.jp/article/bitsp/33004