AIとUX
Published by 松原幸行,
AI(Artificial Intelligence,人工知能)は,いかに人の記憶、仕事、社会生活を改善するか。トム・グルーバー(Tom Gruber)氏のTEDを観ていたら(*1)、「私たちは人工知能におけるルネッサンス時代の真っただ中にいる」とのステートメントが印象深かった。まさにAIルネッサンスの大きなうねりの中にいるのであろう。
もしかしたらペルソナを基にUXをデザインするのは、弊害となりつつあるのかもしれない。ペルソナとは、代表的なユーザー像を設定して示し、これを基にうみ生み出された結果(製品やシステムやサービス)にアダプター層を導く手法だが、ユーザーを「代表」という固有のスタイルで捉えること自体、一人ひとりのユーザーからはズレが生じるのは否めない。その背景にはやはり、開発の効率化という問題がある。UXにおいてナッジ(*2)を考える場合、一人ひとりに合った良い経験を如何に提供できるかが勝負の様な気がする。
グルーパー氏の話には「エンジニアがデザイン(設計)の要素をインプットするとAIが数百のデザイン案を提示する」というフレーズもあって考えさせられる。まさに古典的なデザイナーは不在となる時代が来るのか。芸術的な要素は、事前にスタイルガイドやアレンジの方法としてGマーク受賞製品などをAIに記憶させておけば良いのだから。デザイナーは、より綿密なスタイルガイドを作ることにのみ注力することになるのか。米国の製造業が衰退して久しいが、30年位前のゼロックスでも、スタイルガイドの作成だけを仕事にしている人がいたから、まんざら妄想だけでもなさそうである。
"artifical.intelligence"のインスタグラムより引用(https://www.instagram.com/p/-SNfyFM8QL/?hl=ja&taken-by=artifical.intelligence)
参考情報:
(*1) 「AIはいかに人の記憶、仕事、社会生活を改善するか」> https://www.ted.com/talks/tom_gruber_how_ai_can_enhance_our_memory_work_and_social_lives?language=ja#t-2168(*2)
(*2) 「【ナッジ効果とは?】行動経済学で人の動きを思いのままにする方法」>