肩書きについて
Published by 松原幸行,
ユーザーの経験価値をデザインしている人の肩書きを調べてみた。
* UXデザイナー
* UXリサーチャー/デザイナー
* インタラクションデザイナー
* UI/UXデザイナー
* エクスペリエンスデザイナー
* UXエンジニア
* UXアーキテクト
* ユーザビリティエンジニア
* ユーザビリティスペシャリスト
* ユーザビリティデザイナー
* エルゴノミクスデザイナー
* UXスペシャリスト
* プロダクトデザイナー
* デジタルデザイナー
* UXエバンジェリスト
* UXライター
* UXコラムニスト
このように、ちょっと上げただけでも17通りもあるが、やっていることにあまり違いは無く、みな「ユーザーの経験価値のデザイン(UXデザイン)」をやっている。逆にUXデザインの側から見ると、上記の様なデザイナーと名の付く人以外にも、プランナーやマーケッターなど、多種多様な人が関わってくるので、カオスのような状態だ。
分かりにくい肩書きを解説する。
「デジタルデザイナー」はCGデザイナーと呼ぶ場合もあり、どちらかと言うとビジュアル寄りである。
「UXエバンジェリスト」とは、UXデザインの役割とか価値を組織内に普及啓発する「伝導者」の役割を持った人である。社員教育の担当者が自らを、UXデザインのエバンジェリストだ、と言う場合もある[1]。
「UXライター」と「UXコラムニスト」はほとんど同義だが、書いているものがUX関連のコラムに片寄っていればUXコラムニストとなるであろう。私はUXライターと自称しているが、今までの仕事を踏まえるならばUXコラムニストと言った方が的を得ているかもしれない。
「UXアーキテクト」は提供するサービスの内容(ステークホルダーや、タッチポイントや、UIの種類や、提供するコンテンツなど)や関係性を構造的に明らかにする役割を持つ[2]。タッチポイントをデザイン設計する人は全体の関係を理解する必要があるので、サービスのアークテクチャーからのインプットは大変重要である。
背景の一つには、「UX」がバズワード化していることがある。やっていることは同じ「経験価値の創出」だ。もし創出するという仕事を「企画・開発」ととらえれば、それは「デザイン」のことだから、「UXデザイナー」 で良いと思うが、「デザイン」の意味を狭くとらえる人や、あえて別の新しい言葉で表現したい人もいるからこうなるのであろうか。
もう一つの背景は、従来の役割からの変化(進化)がある。モノからコトへの変化に伴い、UIデザイナーやユーザビリティエンジニアの役割も明らかに変化している。役割は変化したが肩書きは従来のまま、というケースである。
また、社内に「UXって何?」という人がまだ多い組織では、あえて「UXデザイナー」と自称するには躊躇いもあろう。悩みどころである。
新しく命名するのは何も悪いことではないが、他のディシプリン(例えばシステムエンジニアとか)のような、役割が社会的に認知されることからは遠くなる。これはジレンマである。このあたりの交通整理は誰かができるようなものではないので、自然淘汰に任せるしかないであろう。つまり、役割として社会的に認知されるには、まだまだ時間がかかるのではないか。それはそれでいい、と割り切るしか無いような気がする。
Author is unknown not provided translate - U.S. National Archives and Records Administration, パブリック・ドメイン, (https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=16632875)
参考情報
[1] 「AppleのUXエバンジェリストが教える、優れたアプリアイコンをデザインする6つの秘訣」> http://www.seojapan.com/blog/app-icon-design
[2] 「UXデザインをUXアーキテクトに置き換える。 横文字による誤誘導」> https://medium.com/@bungo/uxデザインをuxアーキテクトに置き換える-横文字による誤誘導-973fb557f8a0