コンフォードゾーンとスコトーマ
Published by 松原幸行,
心理学に2つの言葉がある。「コンフォードゾーン」と「スコトーマ」である。
コンフォートゾーンとは、その言葉通り自分が心理的に居心地良く感じる場所・環境のことである(comfort:快適さ)。人はコンフォートゾーンに居るとなかなかそこを出ようとしない。居心地が良いからである。
居酒屋で気軽に飲食することが好きな人は居酒屋がコンフォートゾーンなわけだ。コンフォートゾーンは「自分らしさ」であるとも言える。自分らしさを感じたり意識するのはそれはそれで大変良いことである。
スコトーマとは元々は医学用語で、視覚的な盲点、死角のことである。その後心理学分野での使われ始め「心理的な盲点」の意味でも使われる。そしてスコトーマはコンフォートゾーン域内の"負の要素"でもある。
スコトーマとは言葉を変えればネガティブな心理状態である。従ってこのネガティブな心理状態をポジティブなものに変えることができれば、コンフォートゾーンが広がりスコトーマを無くすことができる。
先の例で、居酒屋がコンフォートゾーンである人は高級なフランス料理店に居心地の悪さを感じてしまう。そうすると、フランス料理にある奥深さとかフルコースのマナーなどが分からず盲点となるのである。
これは極端な例だが同じことがデザインそのものや組織などについても言える。つまりコンフォートゾーンだけで思考していては、答えを見過ごしてしまったりアイディアに気づかなかったりする。これは厄介である。
その意味ではコンフォートゾーン域外にもあえて目を向けてスコトーマを一時的に外し(盲点を作らない)、ヒントを得る方が良い[1]。
スコトーマには色々ある。細分化されたデザイン分野(例えばプロダクトデザインなど)に執着して他のデザイン領域に無関心になるとか、大企業・大組織に安住しているとフリーランスの苦労が分からないとか、似たような状況が起こり得る。
モノづくりの側にいると顧客の期待が分かりにくいというのも同じである、このような状況を打破するのが「コ・デザイン」や「越境[2]」である。
"j_izreal"のインスタグラムより引用(https://www.instagram.com/p/BkqtLnrhqPj/?hl=ja&tagged=comfort)
参考情報
[1]『脳科学におけるスコトーマの外し方』 - https://ameblo.jp/tetsujin217/entry-12270609703.html
[2] 三気力コラム「UXD2.0、3.0」を参照のこと - http://hideyuki-matsubara.postach.io/post/uxd2-0-3-0