オーディオUX問題のアナログ的な解決
Published by 松原幸行,
我が家のオーディオはストレスの固まりであった。本コラムではそのUXをどう改善したかについてお話する。
今のシステムになって以来、もう10年以上になる。それ以前は、TVやオーディオアンプ、LPレコードプレイヤーを、それぞれを別々に使用していた。それらを統合したいと思い、ではいっそのこと良い音でということで、10数年前に5.1チャンネルのサウンドシステム(5.1ch)を導入した。つまり5.1chアンプで全てを集約したわけだ。
当然ソース毎に5.1chアンプ側でソース切り替えを行わなければならない。おまけに、まだ愛聴しているLPレコードは音量増幅のために専用のイコライザーも使わなければならない。さらに、TVの調子が悪く、例えばTV放送からDVDにソースを切り替える際に、いちいち電源を切/入しなければならない、と制約事項満載である。5.1chアンプにしてみれば、LPレコードやTV(デジタルテレビなのに)はLINE入力だし デッキはデジタル入力である。その組み合わせが複雑で、メンタルモデルがなかなか形成できなかった。
毎回悩みながら操作していたが、先週ついに、悩みを解消する新たなアナログな解決策を思いついたので実行してみた。それは、なんのことはない、それぞれの機器にポストイットのメモを貼ることである。
ポストイットにソース毎の切り替えモードをメモして、アンプとかTVに貼ったのだ。とりあえず悩みは一挙に解決したが、スマートさにはかける解である。しかし、断捨離中の身としては新たな機器の購入はためらうところである。ポストイットは、非常に原始的だがプリミティブで一覧性に優れていると、改めて感心したw。
目印にポストイットを利用するのは、よくあることだ。本のしおりにしている人もいる。そもそもポストイットは、米国3M社の研究員が、航空機に使用するための強力な接着剤を作ろうとして失敗したことから偶然生まれたものだが[1]、その簡単に貼り剥がしができるメモというアナログさは、新しいシステム導入をいぶかる「現状維持バイアス」をクリアする手としても使える。アナログならハードル(抵抗感)が低いからだ。
とりあえず混乱をおさめる解は、UXとしては超アナログなものであったが、私がメーカーズであれば3Dプリンターを使ってもう少し気の利いたものを作ったかもしれない。AI技術はこのような問題をシステムとして簡単に解決してしまいそうである。そういう、接続に労を要しないスマートなオーディオシステムがすでにあるなら、教えて欲しい。
By Brandon Daniel from USA - TTA_Serge_WAD, CC 表示-継承 2.0, (https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=32784305)
参考情報
[1] "The TRUE story of Post-It Notes, and how they almost failed" > https://www.ideatovalue.com/insp/nickskillicorn/2017/04/true-story-post-notes-almost-failed/