ロボットと介護

介護とロボットの関係に関心があり調べてみた。ロボットやAI技術への単純な関心ということと、現実的に親の介護をしている立場からの興味である。

介護用ロボットと言っても色々あるが、大別すると次の2つになるようだ[1]。

A.介護者の負担軽減
B.要介護者の自立支援

Aには、入浴や食事の介助など、介護者の作業負担に直接役立つものである。この分野は、最近もJALが導入して話題となったパワースーツと言われるものが先行している[2]。現在の主流は目的を絞った介助システム(入浴介助システムとか)であるが、今後はパワースーツがしばらく主流になりそうである。入浴介助などの目的に特化した介護システムなどは、かなり普及している。政府としては、これらのシステムに加えて外国人労働者を増やすことで介護環境を整える方針のようだが、介助システムやパワースーツが普及した後、外国人労働者が"人余り"しないか、心配である。

Bとしては、移動を支援したり排泄を支援したりと、自立生活を送る上で欠かせない物理的な支援を行う。原点にはQOL(Quality Of Life)の充実という課題がある。ところが、QOLを踏まえた自立には、直接排泄をケアしたりするロボットよりも「心のケア」、つまり、孤独感を癒したり、感じさせないようにする部分が必要不可欠であると思う。というか、より重要かもしれないとさえ思う。孤独感が認知症を加速してしまうという説もあるのだ。

このような「心のケア」を行うロボットは「コミュニケーションロボット」と総称されている。ランキング[3]を見てみると、なぜかぬいぐるみのようなものが多い。果たしてそれで良いのだろうか?これはあまりにも安易な解であると思う。「不気味の谷」を避けたいという意識は分かるが[4]、ぬいぐるみがコミュニケーションを促進することについては懐疑的である。

人工知能を否定する意見もある[5]。しかし、人毎に異なる孤独意識や認知症状を踏まえた上でのコミュニケーションを考えると、AIは必要不可欠であると思う。「コミュニケーションロボット」として、AIを搭載している「ElliQ(エリック)」という"カスタマイズされた話し相手"が注目である[6]。形態は即物的だが、応答内容や表情が豊かで、"使えるロボット"の一つではないか。

また、この記事([6]に掲載)にある、「Join Papa(ジョイン・パパ)」という"レンタル孫"サービスは別の意味で興味深い。これは、登録した大学生が依頼に応じて買い物や雑用を代行したり話し相手になったりするサービスである。やはり癒されるのは人対人なのだ。若い学生さんも、老人との交流という社会貢献を行って給料が入るのであれば、メリットがあるのではないか。

これから、介護市場に様々なロボットやサービスが出てきそうである。ある意味、楽しみな状況であるw


"yvesbehar"さんのインスタグラムより引用(https://www.instagram.com/p/Bsvz8XYAiOQ/


参考情報
[1] 「老人ホームの人手不足を解消する切り札、介護ロボットの現状と課題」> http://www.minnanokaigo.com/guide/care-trouble/carerobot/
[2] 「JALが導入したパワーアシストスーツは本当に「着るロボット」なのか?」>https://bouncy-news.cdn.ampproject.org/v/s/bouncy.news/37216/amp?usqp=mq331AQCCAE%3D&_js_v=0.1#referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&_tf=ソース%3A%20%251%24s&share=https%3A%2F%2Fbouncy.news%2F3721
[3] 「コミュニケーションロボットのおすすめ人気ランキング10選【介護・子供用に!】」> https://my-best.com/1976
[4] 「不気味の谷現象」> https://ja.wikipedia.org/wiki/不気味の谷現象
[5] 「「孤独を癒すのは人工知能ではない」元ひきこもりの科学者が開発する"人と人を繋ぐロボット"とは」> https://next.rikunabi.com/journal/20151002/
[6] 「AIロボットが話し相手、孤独な米高齢者を癒やす 「レンタルの孫」手配アプリも、保険会社も注目の健康リスク対策」> https://diamond.jp/articles/-/195476