スマートハウス

 英国のマイクロソフト(MS)リサーチ・ケンブリッジ研究所がAI(Artificial Inteligence)と機械学習を研究している(1)。2045年以降はAIが生活の様々な局面を仕切ることになるようだから(シンギュラリティ)、MSがAIを研究するのは当然である。スマートハウスで人間と対峙するのはロボットである。ロボットは5つに集約されるらしい(2)。ここで厄介なのは俗に言う「トロッコ問題」である(2)。人間の知能をAIで拡張しスマートハウスを作ろうとした際に、技術の側面だけに注力するのは危険である。まず住む人のニーズを知り、そのニーズを満たすものをAIやロボットなどの技術で解決するという方法が必要だろう。よくアイディアが出てくる、建築部材や設備をパーツ化した、いわゆるレゴのような家がダメなのはすぐ分かる(3)。やはり人の住む家というのは住む人の生活や人生そのものであるから、エスノグラフィのような手法が有効である。ところがエスノグラフィだけでは、どのようにしたいのかという「人のビジョン」とか心の底までは見渡せない。そこでビジョンを構造的に可視化する方法である、グランデッド・セオリー法(4)が有効になる。インタビューからビジョンを組み立てていくもので、元々は臨床医療の現場で生まれた手法だ。最近はモノ・コトづくりの現場でも取り組みがみられる様になってきた。ところで建築家というのは自分の案に溺れやすいので、建築は意外とHCDではないと言われる。工業デザイナーがこのようになることを懸念している。


(画像出典:Creative Commons at Flickr http://u0u1.net/FBzB)

参考:
(1) Microsoft Research in Cambridge https://www.microsoft.com/en-us/research/lab/microsoft-research-cambridge/
(2) 人間は5種類のロボットと共存する http://www.kyamaneko.com/entry/singularity-ai-life-with-robots トロッコ問題 http://www.kyamaneko.com/entry/singularity-ai-life-with-robots#トロッコ問題
(3) レゴのようにブロックを積んで建てる http://tabi-labo.com/244669/popup-house/
(4) グラウンデッド・セオリー・アプローチ概論 http://gakkai.sfc.keio.ac.jp/journal_pdf/SFCJ14-1-02.pdf、質的研究におけるグラウンデッド・セオリー・アプローチ http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~ysekigch/qual/grounded.html