UXリポジショニング

UXのUserという部分に違和感を覚え始めている。突き詰めれば突き詰めるほど現実と離れる場面がある。

第一に、「ユーザー」という言い方は何かおおざっぱで、抽象的だ。サービス提供側のUX改善などを行う時も「ユーザー」と言うのか。確かにシステムや業務系サービスを利用するユーザーではあるのだが、良いサービスが提供できればできるほどエンドユーザーも喜ぶとするならば、EX(Employer eXperience)とか、SPX(Service provider eXperience) などと言いたい気もする。

ペルソナができるまでは某氏でありユーザーでいい気もするが、できた段階で「ペルソナの経験」という意味合いを持たせた方がより明快だろう。

旅行者向けならTX(Traveler eXperience)だし、もう少しニッチに、バックパッカー向けに考えるのであればBX(Backpacker eXperience)と言ってもいい。ペルソナの特徴をとらえた表現は工夫のしどころだ。

例えば、若くして起業したA氏のペルソナ名を「鬼形 敦」などと命名して、その鬼形氏の経験(Kigyo's eXperience)ということで「(鬼形氏の) KXは...」などと言い合う。プロジェクトに特化するわけだ。

第二にSCD(Social Centered Design) に取り組むのであれば、対象は利用者(User)ではなく、イベントの参加者を指すならPX(Participants eXperience)であったり、一緒に楽しむメンバーだからMX(Member eXperience)だったりとなる。

第三に、そもそも経験を評価したり意味を持たせたりするのは 人間だけであり、「経験」と言っただけでそれは人の特性を指すのだから、あえて「ユーザー」を付けなくてもよいのではクスペリエンスと言えばそれは人間のものなのだ。それで十分という気がする。前の部分は「誰々の」という経験の対象を言うべきなのだ。

これらを考えるに至り、「UXデザイン」という活動なり役割の名称は単に「エクスペリエンスデザイン」で良い気がする、というのが今のところの結論である。

By www.Pixel.la Free Stock Photos - Download Thousands Of Free Stunning Stock Photos., CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51438642