UXリサーチで得たものを活用する

UXリサーチには研究論文のような研究成果に関するものから、仲間内の雑談などから得られたヒントなどに至るまで、様々なものがある。

これらの中には一過性で終るものや限定的なものもあるが、他のプロジェクトでも使える有益な情報が多い。これらはプロジェクトが終わったら処分するというのはもったいない。リサーチでの洞察や発見した事実を他のプロジェクトでも使用したり、その情報から新たなアイディアを産み出せたりできる可能性もあるのだ。

その意味では「UXリサーチ結果の再利用」を真剣に考える必要がある。それは生産性の向上にもつながる。

Slackはコラボレーションには向くが情報の蓄積や再利用(情報活用)には向かない。Dropboxは情報活用には向くがコラボレーションには向かない。では、コラボレーションも情報活用も、両方満足する ツールにはどんなものがあるのか。筆者はEvernoteをお勧めする。

Evernoteには、企業内などクローズドな環境で使用するエンタープライズ版とも言うべき「Evernote Business」というものがある[1]。

今や社内でユニークなツールを構築し運用するのは効率的でも効果的でもなく、過剰投資である。極端に言えば、ユニークなシステムの開発維持管理にあてる要員はモバイル機器使用環境の整備など、他に振り向けるべきだ。

富士フイルムは、全社の情報活用ツールをGoogleドライブのエンタープライズ版である「G Suite」に統一した。コアシステムのメンテナンスやバージョンアップはGoogleがやってくれるし、セキュリティも万全だ[2]。ただ情報活用には問題ないものの、もしメールシステムをGmailにできなければ(gmil.comではなく独自のドメインだが仕組みはGmailである)G Suiteにするメリットは少ない。

ツールは、諸々の条件を参考にして最適なものを選べば良いが、情報活用はツールを導入しただけでは不十分である。それを十分にさせるには、専任の管理者を置くしかない。

管理者を決め、タグやファイル構成を適切に決めた上で、UXリサーチ論文やプロジェクト報告書や調査レポートやの仲間内の雑談など、様々な情報を格納していくだけだ。アイディア出しで付箋紙に書いたメモなどもOCRで電子テキスト化して保存するのだ。

何はともあれ、UX情報の一元管理はユーザー中心主義を組織内に定着する上でも避けて通れないものだと思うが如何であろうか。


"gourmetbiologist"さんのインスタグラムより引用(https://www.instagram.com/p/B6cF9dtnR7U/

参考情報
[1] Evernote Business活用法 > https://evernote.com/intl/jp/business/use-cases
[2] 認証権限の範囲とアクセスログでセキュリティ管理する。不正アクセスがあった場合は管理者に通知される。