UXとUIは一緒に語られる事が多く「UX/UI」などと表記されることも良くあります。あまり意識せず使用されていますが「UXとUIってどう違うの？」という質問も度々受けます。「UXは経験の事で、UIはインタフェースの事です」と言っても、分かり難いことには変わりありません。経験とはコトの事を言っており、インタフェースとはモノの事を言っていますが、これをインタラクションと言い換えても、経験＝インタラクションとはなりません。インタラクションはモノでは無いけれど、まさにインタラクションするその時、その一瞬における体験を問題にしています。これに対してUXとは、体験が連続的に連なり時間軸を伴うまとまりのある経験（バイト経験とか、インターンシップ経験とか）です。体験も経験も英語ではExperienceですからややこしい。端的な例は私のオフィスにあるエレベーターです。エレベーターは上下を移動を指示するモノとしてUIが考えられています。ところが2基あるエレベーターのボタン配列が異なります。勿論両方とも、整然とグリッドレイアウトで配列されています。

　何故二基の配列が違うかというと、B1が有るか無いかで、1Fボタンの位置を変えているからです。デザイナーは整然とシンプルにボタンを配したUIを良しとして、乗った時のインタラクションしか考えなかったようです。ところがそのビルに勤める私は毎日利用しています。そして勿論、二基のどちらを使用するかは、ホールに入る時間と、その時のエレベーターの利用状況とのタイミングで決まってきます。つまりどちらに乗るかは決められない訳です。このような場合、二基のボタン配列が異なっていたらどうでしょう。場所記憶が活用できず、習慣が形成されず、毎日のように押し間違えます。またはじっとよく見てどこを押すべきか、毎度確認しなければなりません。エレベーターは何のために利用するのか、その利用はビルを勤務場所として使用する経験の中でどの様に存在すべきなのかを考える視点が欠けています。これがUIは考えているがUXは考えていないという事象であり、インタラクションだけを考えると失敗するという事例です。