効果的なオンラインブレスト
Published by 松原幸行,
ウェブコラム『How to run an effective online brainstorming session』を基にオンライン上でのブレインストーミング(以降 ブレスト)について一考。
最近はZoomが普及し、ビジネスシーン、プライベートシーンの両方で広く使われるようになった。テレビ会議ツールとしては使いやすいツールである。しかしブレストにおいてはどうだろう。一応ホワイトボード機能はあるのだが[1]、使いやすいとは言い難い。
ブレストと言えばホワイトボードがつきものだが、他には無いのだろうか。
ホワイトボードでは消せてしまうので、消せないように付箋紙をはりながら議論した方が有効、という説もある。KJ法はその一つだ[2]。
または、消すのではなくたくさんのホワイトボードを際限なく使う、という力技もある[3]。
物理的な道具はいいのだが、当然オンラインには向かない。でもZoomでは記録を残しにくい。ではZoomのホワイトボード機能に代わるものを見てみよう。
「Googleスライド」を共有して、強引にホワイトボード化させてしまう手もあるが、もう少しスマートにいきたい。
「Prezi」というオンラインプレゼンツールをブレストに使うという手もある[4]。また、Mindmapをオンラインで使えるサービス[5]を利用して、Mindmapを使ったブレストというのもあり得る。だが、PreziもMaindmapも、いずれもブレスト用に作られたものではないので、慣れないとグジャグジャな概念図ができあがり混乱するだけ、という結果にもなりうる。
つまりツールの問題ではなく、キモは別にあるのだ。そこでオンラインで行う効果的なブレストの5つの心得を見てみよう[6]。
1
まずは、本当にブレストが必要なのかどうかを今一度冷静に考えてみる必要がある。なんのためにブレストを行うのか。目的によって方法を選ぶべきだ。
知恵を出し合わなければならない場面とは何なのか。どういう時か。
スタンフォードのd.schoolによれば、いわゆるHMWクエスチョン(How might we:つまり、我々はどうすれば◯◯できるか、の問い)について知恵が必要な時がブレストをする時なのだ[7]。
例えばちょうど開発している自社サービスと似たようなものが他社から先行導入されたら、自社サービスはどう差別化したら良いのか。そういう時は導入間際で時間が無いわけだから、メンバー集めて知恵を出し合う意味がある。
2
そして大事なのは、ブレストのオーナー(主宰する人)が事前にビジョンを可視化した資料、ビジョン・ブリーフ(Vision Brief)を作成することである。
ビジョン・ブリーフには次のような内容を含む。
- 解決すべき問題を特定する
- 特定したユーザーとユーザニーズ、および問題点
- プロジェクトの目標
ビジョン・ブリーフは、ブレストチームが目標や問題点、ユーザー情報などを共有することを目的としている。時間的に余裕がない場合ほど、重要な情報を端的にまとめたこのような資料があると効果的である。
3
そしてファシリテーションの問題である。良いブレストのためにはファシリテーションが重要である[8]。
主宰するあなたがブレストのファシリテーションに慣れていない、あるいは自信がないようであれば、誰か経験豊かな人にファシリテーションをお願いする手もある。
4
4つ目は、適切なウォームアップを行うことである。いきなりブレストを始めるのではなくアイスブレイカー・ゲーム[9](アイスブレイクゲーム、アイスブレイキングゲームとも言う)などを最初に行うと緊張もほぐれるし頭の回転も早くなり良いアイディアも浮かびやすくなる。
5
1〜4を踏まえた上で良いオンラインツールを選ぶことである。InVisionというプロトタイピングツールには「Freehand」というブレストツールが用意されている[10]。またXbox Research and Designからは、アイディアを出したりまとめたりするブレインストーミング・ツールが提供されている[11]。
オンラインのツールを利用するだけでは効果的なオンラインブレストは行えない。事前の準備やファシリテーションのコツを学んでおくことがより重要である。
みなさんも5つの心得を参考にしながら、オンラインブレストを点検してみてはいかがだろうか。
Mohkermani - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=65196158による
参考情報:
[1]『Zoomのホワイトボードの使い方・基本操作方法まとめ』- https://zoom-kaigi.com/zoom-white/
[2]『KJ法とは|紙とペンだけでどんな問題も解決できる無限アイデア発想法』- https://navi.dropbox.jp/kj-method
[3]『デザイン思考のためのホワイトボード「セーブボード」と「inova(イノーバ)」は共有・対話の場が簡単に作れる優れもの』 - https://www.shigotoba.net/itoki_1612_2_designthinking.html
[4]『ブレストをしよう!』 - https://prezi.com/eh_m4bok3b8k/presentation/
[5]『《2021年完全版》WEBブラウザで使える無料オンラインマインドマップツール&アプリ比較15選』 - https://kawazoezoe.com/browser-mindmap.html
[6] "How to run an effective online brainstorming session" - https://www.invisionapp.com/inside-design/online-brainstorming/?utm_campaign=EM_Digest%20Engaged%2006-02-21&utm_source=marketo&utm_medium=email&utm_content=cta1&mkt_tok=MTg5LUlGSi02NDgAAAF9aTV2QTSPWsL6WmyoRJzBGcla4L_t9MoiodMBJ00XHatM-Vf5lDHZV05r5V23dwwAbPJczA-lO0IUEaRYQ1WxyF7FScJnyRZfaNPrOSvliw
[7] "How Might We" questions - http://crowdresearch.stanford.edu/w/img_auth.php/f/ff/How_might_we.pdf
[8]『ファシリテーションとは?上手いファシリテーションの3特徴と5ステップを解説します 』 - https://kigyotv.jp/news/facilitation/
[9]『ビジネスでも使える!場の雰囲気がなごむアイスブレイク15選』 - https://nazotoki-concierge.com/column/know-how/20190723186/
[10] Freehand - https://www.invisionapp.com/freehand
[11] "Brainstorming Template" - https://www.invisionapp.com/freehand/templates/detail/brainstorming-template, 他にSalesforceのもの("Crazy 8s" - https://www.invisionapp.com/freehand/templates/detail/crazy-8-brainstorming-template)、KPMGのカードソートツール(https://www.invisionapp.com/freehand/templates/detail/card-sorting-template)などがある。