小さな問
Published by 松原幸行,
大脳新皮質(外側の新しい脳)は大きな変化を好む。ダイエットする時は「5キロ痩せるぞ」と思う訳だ。一方、習慣は大脳基底核(中心の古い脳)がつかさどる。そして古い脳は「変化=恐怖」と判断し、新しい脳の指令を拒もうとする。ダイエットが続かないのはこのためだそうだ。
だからなるべく"小さな挑戦や問"にした方が良い。カーネギーメロン大のジョージ・ローウェンスタイン(George Loewenstein)氏は、好奇心が生まれるのは「知識の隙間」を発見した時だと言っている。確かに、他の人が携帯で会話してるのをつい聞いてしまうことがある。知識の隙間は、小さな問と置き換える事ができる。
NHKは高校野球で出場校の紹介をする。これも興味へつながる小さな問を提供している訳だ。またスマホのゲームに夢中になるのは小さな挑戦がたくさんあるからである。これは以前お話ししたパースウェイシブ・デザインにも通じる。
パースウェイシブ・デザインでは、最初の敷居は低くしてシンプルにすることが説明なしに使ってもらうためには必要、とされている。要は知識の隙間を狙うというものだ。つまり好奇心を刺激し興味をいだいて貰うために必要な配慮である。
大き過ぎると拒絶したり様子見になってしまう。一方小さ過ぎると、変化を感じる事ができず物足りないともいえる。小ささの程度が大事だ。
ついでに言えば、外的動機付けよりも、内的な動機付けの方が頑張りが効く。内的動機付けとは、楽しさや意味を見出すなどだ。楽しかったり意味を見出すことができれば動機づけられ易いという訳だ。その上で、問を小さくして知りたい欲求や好奇心を惹起できれば利用してもらえる、という訳である。
(画像出典:Creative Commons at Flick http://ur2.link/BgxC)
参考資料:
・継続とは小さな問を立てること http://www.dhbr.net/articles/-/4634(HBR2月号)
・パースウェイシブデザインのビヘイビアモデル http://bjfogg.com/fbm_files/page4_1.pdf
・他人の携帯の会話をつい聞いてしまう http://wired.jp/2010/09/27/「携帯の会話」を、つい聞いてしまう理由/