選択肢の数と効率化

選択肢を増やすと、ユーザーの決定時間も比例して増えてしまうことを「ヒックの法則」という[1]。対象となる例は次のようなものである[1]。

  1. UIの1画面に配置する機能の数
  2. メールを分類するフォルダー数
  3. グループ共有文書を保管するフォルダー数

コピーセンターなどでコピー 作業を専門とするトレインドオペレータ(キーオペレータとも言う)は、機能の配置を知っているためなるべく画面を変えずに操作したい。このユーザーに対してはヒックの法則は当てはまらない。1画面中にできるだけ多くの選択肢が配置されていた方が良いからだ。

相対する極端な例として、セブンイレブンやファミリーマートのコピー端末の「モーダルUI」がある[2]。ウィンドウを開いて強制的に操作させる方法である。が該当する。これは、操作は間違わずにできるが時間がかかる。初心者には向いている。

メールを処理するアプリにしても、スヌーズ機能をメインにしてフィルタリング機能を省いたものがある[3]。

Evernoteも、メールのフォルダーにあたる「ノートブック」の数が増えすぎると使い勝手が悪くなる。複数のノートに関連する場合、ピッタリするノートが無い場合、など悩ましい状況があり、この度にノートブックを増やしたり名前を変更したりする。

では、多すぎず少なすぎない選択肢の数とはどれくらいなのか。参考になるのは認知心理学で提唱されている「マジカルナンバー」である。

これは、短期記憶できる「チャンス数」を4つプラスマイナス1にするというものだ[4]。選択肢の数、分類数、箇条書き数などに当てはめる事ができる。

UI画面であれば1画面に4機能(プラスマイナス1機能)程度、メールのフォルダーは3~5にする訳だ。

短期記憶できるということは把握も容易であるということだし、容易に把握出来ればスムーズに行動できるので、ヒックの法則も回避できると思われる。

どうしても数は減らせないという場合は、中分類して分かりやすくくくってレイアウトしたり、階層化したりすることも有効だ。

効率化という側面からもUI画面設計にマジカルナンバーを取り入れてみてはどうだろう。


By Stephen Ausmus - This image was released by the Agricultural Research Service, the research agency of the United States Department of Agriculture, with the ID K11611-1 (next)., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=545126

参考情報
[1] 「ヒックの法則」> https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/hicks-hymans-law/
[2] 「モーダルウィンドウ」> https://ja.wikipedia.org/wiki/モーダルウィンドウ
[3] 「Inbox by Gmail 」など。
[4] 最初に導かれた7プラスマイナス1は、再実験の結果、否定されている。> https://uhuru.co.jp/mclab/marketing/psychology02/