エンプロイアビリティー
Published by 松原幸行,
「エンプロイアビリティー Employability」という言葉がある[1].労働者が,雇用され得る能力を持っているかどうかを推し量る際に使う言葉だ.会社からの期待の裏返しともとれなくはない.自律型組織で使用されてはじめて生きる言葉だろう.
「自分はもっとエンプロイアビリティーを高めなければならない」などと言う.組織からスキルセットが示されていたり役割のコンピタンスが定義されていたりすれば問題ないが,そうでない場合はどうあればエンプロイアビリティーが高いのか,自分で定義しなければならない.
業務が遂行できることは当然だから,現時点であえて例をあげるとすれば次のようなものだろう.
- 顧客の経験価値に関する問題解決を行う姿勢があるか無いか.
- 仕事の創意工夫
- 役割を遂行し目標を達成するまでのプロセス.etc.
経験価値の問題は,一人だけ自部門だけでは解決できないから,当然他部門と協働する必要がある.この協働は待っていても自分にオファーが来るとは限らないから,自ら働きかけなければならない.また,2つ目の仕事の創意工夫では,言葉ではたやすいが目に見える工夫(または他者が真似できる工夫)となると行う以上の努力が必要である.3つ目の役割遂行についてもプロセスが見えることが重要であり,様々な批判を受けながら切磋琢磨する姿勢が求められる.
本当は,顧客ロイヤルティーの向上に直接コミットできると良いのだが,開発組織の場合はあまりにも遠すぎる.一つ例をあげれば,デザインに対してクレームがあった場合は,デザイン担当者がチームリーダーやマネージャーと共にクレームを出した顧客を訪問し,コミュニケーションすることなどが考えられる(筆者は実際に体験したことがある).デザイン組織としてあげれば,エンドユーザーを招いたデザイン検討[2]の場を設けることなどが考えられそうである.
色々難しいことをあげたが,エンプロイアビリティーはマネージャーとの目標合意などの中で使うのではなく,あくまでも自己研鑽の一つとして考えた方が良さそうである.そしてここでも「小さな目標」が良いことは言うまでもない[3].
"careermag"さんのインスタグラムより引用(https://www.instagram.com/p/BqOtM8bARRg/)
参考情報
[1] 未だに7割企業が副業禁止。禁止企業の人事の本音と最も心配していること https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181109-00010002-binsider-soci
[2] コ・デザインという文脈で考えられる.コラム『パーティシパトリーデザイン』https://hideyuki-matsubara.postach.io/post/pateishipatoridezain
[3] コラム『ビジョンは大きく 目標は小さく』https://hideyuki-matsubara.postach.io/post/biziyonhada-kiku-mu-biao-haxiao-saku