心理的安全性

組織にとってスキルや情報の整備と同時に、何でも言い合える心理的な環境づくりが大事である。今回はキヤノンのデザイン組織でマネージャーを務める金谷氏からの投稿で、『心理的安全性』というテーマのコラムをお届けする。


心理的安全性という言葉をご存知だろうか。エドモンソン氏のTEDスピーチ[1]で提唱された、チームの生産性を高める要因として重要と考えられているものである。

チームが協力し、それぞれのメンバーの専門性や知恵を活かしてより良い結果を実現するために協力するためには、何が必要なのか。

Googleのピープル・アナリティクス・プロジェクチームのリサーチプロジェクト、アリストテレス[2]が効果的なチームを可能とする条件は何かを調査した際も、どんなメンバー構成であるか、スタープレイヤーがいるか、どんなマネジメントスタイルであるかよりも、一番に挙げられたのが心理的安全性が確保されたチームということであった。

では、心理的安全性が確保されたチームとは、どういったものなのだろうか?どんな発言をしても、たとえ間違っても、強く責められることがなく、失敗をしても許される空気を持っているため、失敗から学び、共に対策を考えられ、受容される。

安心して発言ができるため、チーム活動が活発になるということであろう。変な思いつきであっても素早く共有することで新しいアイデアが活発に生み出されて行くのである。

では、どうすれば心理的安全性を確保したチームにできるのか?

チームミーティング等ではメンバーの発言の機会をなるべく均等にし、発言をしないメンバーをなくすよう気を配る。おかしな発言をしてもまずは受容する。何より、リーダー自らの弱みを見せることも重要になってくると考える。

つい格好をつけ、強く見せたくなるものだが、たまには失敗をすることを共有し、自己開示する。チームメンバーは、日頃の自分たちのどんな行動が、心理的安全性を向上させているか、欠落させているかを振り返る。

心理的安全性ばかりを気にすると、馴れ合いや緩んだ空気になりがちなのも気をつけなければいけないだろう。言いたいことはきちんと言い合い、高い目標を掲げ、目標に向かって存分に議論を交わし、より良いアウトプットを出すために結束してゴールを目指す。そんなチームを目指して行きたいものである。(著:金谷有美子)


コメント
以前、「コンフォートゾーン(居心地の良さ)」と「スコトーマ(ネガティブな状態)」という心理学用語をご紹介した。そして、この両方が無いとデザイン活動はうまくいかないというようなことを書いた。これはまさに「心理的安全性」にあてはまる概念であると考える。ご参考に。(松原幸行)
コラム『コンフォードゾーンとスコトーマ』https://hideyuki-matsubara.postach.io/post/konhuodozontosukotoma


By Visem - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=73695295


参考情報:
[1] TED『他人同士の集まりをチームに変える方法』 - https://www.ted.com/talks/amy_edmondson_how_to_turn_a_group_of_strangers_into_a_team/transcript?language=ja
[2]『「効果的なチームとは何か」を知る』 -
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/