w/コロナ時代の「おもてなし」
Published by 松原幸行,
今日の飲食業においての最大の"おもてなし"は「非接触」である。
最高の経験や感動する体験、そういう経験を、現在の社会に照らして解釈し直してみる。
冒頭で唐突に述べたが、今もっとも望まれているのは、"人が接触しない"ということだから、その意味で「自動化」及び「無人店舗」は増えるであろう。
高輪ゲートウェイ駅やNECが社員向けに無人コンビニを開設したと思ったら、今度は「クラ寿司」が無人店舗を開店した[1]。
ただ単に無人化すると言うことではなく、ITを駆使してさまざまなナッジを仕掛ける必要がある。UXナッジである[2]。例えば、チェックインしたら座る席の方向を光と振動で知らせ移動を促すなど。あるいは席の番号を点滅させるとか。
コロナ禍で全ての価値観が変わってしまったようだ。今の世の中、「最高の経験」は、先に述べたように「卓越した接客」とか「リッチなサービス」ではなく「(コロナ感染の心配のない)完全なる安心」である。それを支えるのは「非接触」であり「非接近」であり「自動化」だ。
「安全」は論理的 科学的に対処・確保できるが「安心」は心理的 情緒的な問題であり対処が難しい。
ディズニーランドやUSJですらキャラクターとのハイタッチをやめたり、パレードをやめたりしていて、感動の提供に苦慮していることがうかがえる。スターバックスも似たようなものである。
ハイグレードなホテルにしても、売り上げを挽回するためにはGoToキャンペーンに乗るしかなく、客層を維持することにこだわっていられない。
ではどこで「最高の経験」を打ち出すのか、どうやって経験価値を担保するか、とても難しい状況である。
私は、一旦マインドセットをオープンにして、業態変容なりビジネスモデルの見直しや新しいビジネスモデルの立ち上げなどを考えるしかないと考える。
例えばカラオケ店がテレワーク用にルームを提供するサービスようなことだ。それでもカラオケ店の約1割は閉店に追い込まれているらしい。
航空会社もCAやグランドスタッフを製造業のコールセンターに派遣している。定款に派遣業があるのかどうかはわからないが、今風に言えば「従業員シェア」である。今後この傾向は高まると思う。様々な企業(特に大企業)が他社に社員を一時出向する従業員シェアは増えるだろう。
自社内のイノベーション提案の際はあらためてビジネスモデルキャンバスを使ってビジネスプランを描いてみてはいかがであろうか。単に"新商品提案"しても営業部門からそっぽを向かれかねない。
hrvargas - https://www.flickr.com/photos/hrvargas/15190566961/, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=98109156による
参考情報
[2] コラム『アンカリングとナッジ』を参照のこと。