医療向けのICT

以前、PX(Patient eXperience、患者の経験)についてコラムを書いた[1]。実は先月、初めて検査入院をしたので、実体験も踏まえて再度PXについて触れることにする。

本題に入る前に、ER(Emergency Room)の医療スタッフのチームワークは1秒の無駄もなく完璧であった。随分ホッとしたのを覚えている。つまりER室のPXは最高の満足度であった。

さて本題に入ろう。最近医療の現場では、病棟の見守りや事故の未然防止などにIoTの活用を検討しているようだが、患者目線に立つと、これはいかがなものかと思う。今でもかなりの装置に囲まれ、居心地が良いとは言えないのだ。富士通が言うように[2]、これ以上のベッドセンサーやウェアラブルでは患者の負担が増えるだけだ。

今回の検査入院では、脈拍・酸素量などのバイタルデータをモニタリングするため、ポケットWiFi程度の大きさの端末を、常時、腕に装備させられていた。端末からは4本のケーブルが出ており、胸に3本、指に1本のセンサー(指のセンサーは酸素量を測定)が取り付けられている。センシングしたデータがナースセンターに送られるのだ。4本のケーブルが点滴の管やイヤホンのケーブルと絡まって、大変イライラしたものだ。

つまり快適なPXとは言い難い。これを帳消しにするのは最強のタッチポイントである「看護師さん」であったのだが…。

冒頭の負担の話[2]には今後の展望が述べられている。つまり、ベッドセンサーやウェアラブルより、病院全体を<マルチカメラネットワークで見守るAIの活用>が望ましいとのことである。マルチカメラは無人コンビニエンスストアでもコア技術となっているが、これに看護師などの人的サポートを加味すれば、PXは更に高まるのではないか。

なお、マルチカメラネットワークとAIコンピュータの組み合わせは、老人介護施設などでも有効であろう。今後の展開に期待したい。


National Institute of Standards and Technology - 'Nitty-Gritty' but Vital Data Helps Field Rescue Robots, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51195346による

参考情報
[1] コラム「病院とPX」参照 > https://hideyuki-matsubara.postach.io/post/bing-yuan-topx
[2] 富士通ジャーナル:AIを活用し現場課題を解決、大成建設が挑む建設事業でのDX展開とは > https://blog.global.fujitsu.com/jp/2020-01-30/01?utm_source=BizNews200205&utm_medium=email&utm_campaign=news&bzndt=200205&bznat=010&mkt_tok=eyJpIjoiWlRrME9EWmtOalExTVdZMiIsInQiOiI1bnhhWExEUWNLZHNPbVhaRXE3b0VSb0VcL08yWlczeTVhZTVnbExaU0Z0NVEyaFJabWtZbnpvMExTVGhudW1sVVFKZDRqTk9aeVVGSG1vV3pzZlZWRVhaY0I5ODNENXAxRmlSMWZiYU1kZGl5RGpPWTd5R2M4WHhkUEZrekdJM04ifQ%3D%3D