AIとアートとUXと
Published by 松原幸行,
いままでにAIに関するコラムをいくつか書いた[1]。
AIについてはNHKでも特集番組があり、それなりに理解は進んでいると思われる[2]。ここでは、UX活動の課題として"AIの可能性"を整理してみる。
何故AIかというと、AIの一つの可能性がUXデザインの目的と合致するからだ。人が良い人生を送るためには幸福になることが欠かせない、そのためには新たなユーザー経験で良い感情を得て幸福感を感じてもらうことが効果的である。「良い感情」にあるかどうかを知るには、AIのアフェクティブ・コンピューティング技術(感情を分析する技術)が役に立つ[3]。
AIは、声の調子(ボリューム、ピッチ、スピード)をパターン化して解析し感情をクラスタリングする。この解析は血圧や心拍数、脳波、声紋など生理現象を基にするウソ発見器の技術とは異なり、声の共振データのみを直接使用する。
自動運転車やヒューマノイドロボットが実用化される世の中では、AIが脳の拡張としてさまざまな分野に浸透する。その一つがユーザー調査や商品企画だ。
ユーザー調査には多くのウェブカメラが使用されるだろう。高度なサーベイランス社会では[4]、固定カメラだけではなくドローンカメラやロボットなどが撮るカメラを連携して、ユーザーに同行しなくても行動観察することが可能となる。行動分析と感情分析から得たデータは十分ユーザー調査に使用し得る。
新しい商品の企画において作成したペルソナは、その人の嗜好スタイルや価値観やライフスタイルから、求める商品の属性が導き出され、デザイン仕様として自動提示されるであろう。
また既存のサービスタッチポイントや製品を組み合わせて、商品デザインも自動生成されるだろう。これらは大部分は導入しやすいものだが、新たに作るべき商品も予測し、デザインに示唆を与えるだろう。
導入対象は、大量生産される商品ではなく、ユーザー一人ひとりにパーソナライズしたものとなるであろう。これを実現するために、決め細かなサービルの細分化とサービス連携を前提とした仕組みを持つことが必須となるであろう。製品(モノ)においても、半完成品とか、GoPro 製品のような部品的なものが適合しやすいと思われる。
(By Pixabay - https://pixabay.com/en/artificial-intelligence-155161/ archive copy at the Wayback Machine (archived on 28 October 2013), CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=53900085)
参考情報
[1] 関連するコラム
・「UXD2.0、3.0」(https://hideyuki-matsubara.postach.io/post/uxd2-0-3-0)
・「シンギュラリティとUX」(https://hideyuki-matsubara.postach.io/post/shingiyurariteitoux)etc.
[2] 「人間ってナンだ?超AI入門」(Eテレ 毎週木曜 午後10時,2018) 「天使か悪魔か 人工知能 ~NHKスペシャル~ ディープラーニングと2045年問題」(NHK総合、2018)
[3] 「感情を理解する『アフェクティブ・コンピューティング』」> https://future-tech-association.org/2018/08/22/mutuki_affective_computing/
[4] ロンドンでは現在でも一日に300回以上撮影される。「ハイテク+微笑=ソフトな監視社会」> https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/column/amp/170307/clm1703070006-a.html 中国では監視社会化している。「凄まじい進化!中国の顔認識監視カメラ網」> https://rp.kddi-research.jp/blog/srf/2018/04/16/camera-2/